ウィークリー・メッセージ 2015第3回
「エキュメニズム」
道後教会担当司祭 川上 栄治
キリスト教諸教会では、1月18日から25日を「キリスト教一致祈祷週間」と定めています。高松教区においては、1月18日から25日の間の日曜日を「エキュメニカルの日曜日」としてミサをささげます。この二つの活動は名前こそ違っても目的は同じです。なぜなら、この二つの活動は「エキュメニズム」に基づくからです。けれども、このホームページをご覧になる方の中にはエキュメニズムをご存じない方も多いと思いますので、今週のウィークリーメッセージは、エキュメニズムについて説明します。
エキュメニズムとは簡潔に言えば、「キリスト教一致運動」のことです。イエス・キリストの弟子によって始められた教会は、歴史で起こった多くの不幸な出来事によって、多くの教派に分かれてしまいました。特に有名なのは1517年のルターの宗教改革です。分裂の理由は、ミサや聖母マリアに関する教えや教皇などに対する考え方の違いでした。
長い間、カトリック教会はプロテスタントを「異端」として批判してきました。けれども、50年ほど前に開かれた第二バチカン公会議で、カトリック教会はキリスト教の分裂が自分たちにも責任があったと認めました。「しばしば両陣営の相当な数の人が責めを負うべきであった」という言葉が第二バチカン公会議の文書にあります。ここで言われる両陣営とはカトリックとプロテスタントのことです。
けれども、第二バチカン公会議はカトリック教会が一致を保ってきたと改めて確認しました。それは、「キリストの唯一の教会が『ペトロの後継者およびこれとの交わりのうちにある司教たちが統治する』カトリック教会のうちに確かに生き続けている」ことに基づきます。「ペトロの後継者」とは日本のメディアで「法王」と呼ばれるローマ教皇のことです。現ローマ教皇フランシスコは、現代社会で宗教のみならず、政治的にも影響力を持っており、しばしば日本のマスメディアでも取り上げられます。この教皇を中心としてカトリック教会は一致を保ってきたのです。そして、忘れてならないのは「カトリック」という言葉自体が「普遍的」という意味を持っていることです。
このカトリック教会の伝統を保ったうえで、エキュメニズムは過去の遺産である分裂を克服し、お互いが協力する取り組みです。その中心となるのは、すべてのキリスト信者が「洗礼」において、イエスを主であり、救い主であると信じていることです。ですから、カトリック信者は「分かれた兄弟のために祈り、・・・躊躇することなく彼らに気遣いを示されなければならない」と第二バチカン公会議は明確に述べます。さらに、「まずカトリック信者自身が、その生活によって、・・・カトリックという家族の中で刷新し実行すべきことがらを誠実に注意深く考察しなければならない」と教えています。つまり、エキュメニズムは単にキリスト教諸教派との一致を目指すだけではなく、カトリック信者自身が自分の信仰を見つめなおすという意味もあるのです。
現代の社会は宗教による様々な争いが絶えません。先日もフランスで新聞社が襲撃され、多くの人が亡くなりました。また、シリアやパレスチナでは戦争が続いています。こういった争いは、イスラム教とキリスト教の対立が原因です。しかし、キリスト教にも分裂があることを認めた上で、他教派との和解の努力を続けることは、他宗教との和解をする前提となります。
ですから、1月18日から25日に行われるキリスト教一致祈祷集会は他宗派の人と関わる良い機会です。キリスト教一致祈祷集会は四国各県、地域でそれぞれ行われていますので、興味のある方は近くの教会に問い合わせしていただきたいと思います。そして、今年は1月25日にキリスト教の一致を願うエキュメニカルのミサが高松教区の各教会で捧げられます。興味のある方は是非ともご参加ください。
道後教会 川上栄治
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