ウィークリー・メッセージ 2017第4回
「キリスト教一致祈祷週間」
道後教会担当司祭
川上 栄治
この週は日本キリスト教協議会とカトリック中央協議会が合同で出版した一致祈祷週間の礼拝のテキストに従って合同の礼拝をするよう勧めています。
キリスト教一致祈祷週間のテキストは表紙にその年のテーマとなる言葉とそれに基づいた聖書の言葉が掲載されており、それからテーマの解説とテーマが決まった経緯が説明されます。そして、合同の礼拝を行うための式文があり、最後にその合同礼拝を行うまでの8日間の準備のための聖書テキストと解説と祈りが記されています。ご興味のある方は教会においてあるテキストを是非一度手に取ってお読みいただきたいと思います。
さて、今年のキリスト教一致祈祷週間のテーマは「和解ーキリストの愛がわたしたちを駆り立てていますー」(二コリント5章14〜20節)となっています。このテーマが選ばれたのは今年2017年がルターの宗教改革が起こって500周年にあたるからです。
パンフレットの資料にはドイツの司教団はルターの宗教改革を記念するべきであると定め、その記念行事にあらゆるキリスト教の宗派が参加することになる、と記しています。これはキリスト教の歴史の中で特筆すべきことでしょう。
ルターが発端となった宗教改革に対して、カトリック教会は長い間否定的な見方をしてきたことは否めません。けれども、第二バチカン公会議以降カトリック教会は方向転換し、キリスト教他教派や他宗教との対話を行なうようになりました。しかし、それはカトリック教会が拠り所としているものを抜きにして、他のキリスト教諸教派と「同じ」になることではありません。
第二バチカン公会議の『エキュメニズムに関する教令』という文書の第2項には次の言葉があります。「イエス・キリストは、使徒たちとその後継者、すなわちペトロの後継者を頭とする司教たちの忠実な福音宣教と秘跡の授与、そして愛の統治によって、聖霊の働きのもとに、自分の民が増大することを望み、その交わりを一致のうちに、すなわち、唯一の信仰の告白、共同で行なう神の礼拝、さらに神の家族の兄弟的融和のうちに完成する。」
ご存知の通り、プロテスタント諸教派はローマ教皇の権威を認めておらず、秘跡に関する理解も大きく異なっています。その点を認めながら、カトリック教会は「唯一の信仰の告白と共同で行なう神の礼拝」を推進しながら、プロテスタントと諸教派との「兄弟的融和」を勧めていくのです。キリスト教が分裂してから長い年月が経ちました。その分裂を完全に修復することはもはや不可能です。けれども、すべてのキリスト教の信者は「イエス・キリストが救い主」であると信じていることに寄り立って、協力すべきことを協力するのです。これがエキュメニズムという活動の本質です。
今年の一致祈祷週間のテーマとなる聖書の箇所には「神はキリストによって世をご自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちをわたしたちに委ねられた」(二コリント5章19節)という言葉があります。この言葉に従って、キリストを信じるすべての者が互いの違いを受け入れながら、争いが絶えない現代社会に「和解」を伝えていくためには、まずキリスト教の諸教派が協力する必要があります。エキュメニズムの活動はそのために必要不可欠であると是非知っていただきたいと思います。
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