ウィークリー・メッセージ 20191

 

三人の博士


 

  松山・道後教会担当司祭 川上 栄治  

 主の公現の祭日の福音朗読に登場する「占星術の学者」とは、三人の博士としてクリスマスの降誕劇に登場します。福音朗読には「三人」と記されていませんが、福音朗読の終わりに「黄金・乳香・没薬」をささげたと記されていることから三人であったと考えられるようになりました。

では、この占星術の学者たちは何者だったのでしょうか? 彼らは「東方」から来たとしか聖書に記されていませんが、それだけで彼らがユダヤ人ではなかったことが分かります。

また占星術といえば、現代のわたしたちは占いを連想します。メディアで誕生月に基づいて「今日の運勢」を取り上げるのは一般的ですし、街中に占い師がいて、そこに並ぶ人たちを見るのも一般的です。

しかし、このイメージで聖書の占星術の学者たちを理解するのは間違いです。なぜなら、現代の占い師はほとんど個人の運命を予言するものですが、当時の占星術の学者というのは、星や天体の動きを通して社会情勢を見極め、それを政治家に助言するという役割を担っていました。ですから、占星術の学者たちは社会的に高い立場にあったのです。

その彼らが「救い主」の誕生を拝むためにユダヤに来たのは実に不思議な出来事でした。彼らはユダヤ人でなかったのに「救い主が生れる」という希望を抱いていたのです。福音書に登場するヘロデ王やユダヤ人たちの態度とは対照的です。

この「救い主が生れる」という希望だけが、占星術の学者たちを長い困難な旅路をもろともせず、イスラエルの地に導いたのです。

ですから、主の公現は占星術の学者たちがイエスの誕生を拝んだことで、異邦人が信仰にたどりついたことを記念する祭日なのです。


 <ネルソン司祭の記事「神は孤独な人に身を寄せる家を与え」に行く 西川助祭の記事「主の洗礼」に行く>

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