ウィークリー・メッセージ 2019第9回
「聖パトリックの記念日」
坂出・池田教会担当司祭 ネルソン・ウイリアム神父
「本日は四旬節第二日曜日に当たり、ご変容を通して主の神性を窺いながら、ご復活に向かう歩みを一歩進めます。
私たちは、ペトロやヤコブやヨハネのように、この体験に促されて自分の十字架を担います。そして、イエスに従い、ご復活における完成へと向かうのです。
そして、もう一つは、聖パトリックとアイルランドの福音宣教です。ここ日本で、私達は潜伏キリシタンの発見について、幾度も耳に致します。そこで、今回は寧ろ、聖パトリックのことについて述べたいと思います。
聖パトリックは、6世紀にイングランドで生まれました。少年時代にアイルランド人の侵略者に捕えられ、アイルランドに連行された後奴隷として働かされました。
16年間、静寂でそして孤独で辺鄙な場所で牧童として生活の糧を得る中で、次第に主を知るようになりました。イングランドに逃げ帰った時、キリスト者となり、アイルランドの人々と自身の信仰を分かち合う呼びかけを感じました。
長年アイルランドの民の間で奉仕する中で、多くの人が彼の生きざまを目にし説教に聞き入り、神を信じるようになりキリスト者となりました。彼は、アイルランドの教会の設立者とされ、アイルランドの使徒と呼ばれています。
今日のこの日本における私達と、この方の人生がどのような関わりを持っているでしょうか。彼は遥か昔に生き、私たちは彼の生涯について少ししか知りません。しかし、彼は2つの非常に重要なメッセージを私達に伝えています。
一つは、大変な困難と苦悩の時にこそ主が私達に語り掛けておられるということです。それは、ちょうどパトリックが故郷や家族から引き離されて孤独に過ごす時に、主が彼になさったようにです。
苦しみの内にある時、主は私達を見捨てません。むしろ、近くに留まり、ずっと導いて下さるのです。
二つ目は、主が私達に下さる信仰を分かち合うことによる喜びです。故郷に戻りキリスト者になった後の彼は、その故郷に留まり静かに暮らすことも出来たはずですが、彼はそうしませんでした。
彼は、自由になれずに生きる人々への愛に満たされ、神の内に見出した喜びを彼らと分かち合うためにアイルランドへと戻りました。
私達の周りの多くの人々も、主が私達に伝えた善き知らせを渇望しているのです。すなわち、神は私達一人ひとりを愛しておられる、という善き知らせです。
もっと言えば、イエス・キリストによって、私達は神の平和と喜びへと立ち返る道を与えられ、兄弟姉妹として共に生きることが出来るように導かれる、という知らせです。
今こそ、周りの人たちと、このことについて分かち合う時ではないでしょうか。
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