ウィークリー・メッセージ 2021年6月20日
ゆだねる心
髙山徹神父
私は子どもの頃、田舎で生まれ育ちました。今でも、山や川や海を眺めるとほっとします。秘密基地を作ったり、オタマジャクシを取ったり…。ちょっと怖い経験もしました。夏休みに家族でキャンプに行った時のことです。三重県の中勢地域の自然豊かな地域のキャンプ場でした。川の水も澄んでいて気持ちよく、元気に泳いでおりました。地元の子達とも知り合い、楽しく川遊びをしておりました。
しかし、それまで楽々と泳いでいたのに、ふと川底が深くなっていることに気付きました。そのまま岸辺に泳いで行けば良いのですが、恐怖を感じた途端、もがいてしまいました。「怖い、怖い、溺れる!」と言っていたら、地元の子達が手を引いてくれました。ほっとして力を抜いて岸辺にたどり着き、事なきを得ました。あの時の体験は今でも脳裏に焼き付いております。今でも泳ぐのは好きですが、危ないと思う時こそ慌ててはいけないなと思います。
年間第12主日の福音のエピソードは、激しい突風を受ける中で、イエス様と弟子たちが舟に乗るものです。イエス様は眠り、弟子たちは怖がり狼狽します。イエス様は風と湖に向かって「黙れ。静まれ」とおっしゃり、実際に静かになります。「静まれ」と言う言葉は、弟子たちに向かって、あるいは、私たち1人ひとりに向かって投げかけられているとも言えます。「心配するな、大丈夫だ!」と。
実際には私たち人は、難しい状況を前にすると、頭を抱えます。恐れや不安も抱きます。でも、恐れや不安は、信じることや委ねることから、私たちを遠ざけてしまうのです。「静まれ」とおっしゃって下さるイエス様のみ心に応え、父なる神様への信頼を新たにさせて頂けたらと思います。力一杯引いてくださるその御手に、ゆだねることが出来ますように。
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