ウィークリー・メッセージ 2022年10月9日
10月9日(日)「年間第28主日」
申繁時神父
今日の年間の御言葉も、印象深い箇所ではないでしょうか。
特に、福音書(ルカ17章11節ー19節)は味わい深い箇所として印象にも残る出来事です。
私がこの聖書の箇所を読んだ時(まだ求道者として歩んでいたと思います)は、意味がわかりませんでした。神学を学びながらまずわかったことは、サマリア人(異邦人)がイエス様とは仲の良くない民族同志ということを知りました。そのことによって、イエス様はサマリア人(異邦人)をも癒したことが理解できました。良く見ていくと十人中の九人はイエス様と同じ仲間の民族同志で、一人だけがサマリア人(異邦人)であったということです。
当時の重い皮膚病は、隔離されて外部との接触は許されなかったようです。つまり生涯孤独な生き方をしなければなりません。心身共に本当につらいことでしょう。
しかし、イエス様の登場によって彼らは一変します。病気は完全に治ったのです。その奇跡は何にも変えがたいほどの喜びでしょう。有頂天になるのは当たり前かもしれません。
言い方が雑で失礼しますが、その出来事はそこで終わっても良かったとも感じました。めでたしと。
ただ、先ほどのサマリア人(異邦人)は、真っ先に帰って身内に会うことではなく引き返して、イエス様に感謝し神様を賛美したのです。つまり、ここに「本当の信仰心」が芽生えたことを強調しているようです。その証しとしてイエス様から「あなたの信仰があなたを救った」と直接声をいただいたのです。
話しは急変しますが、私は在日韓国人です。当時学生時代はこの現実は個人的には大きな苦しみでした。しかし、教会を知り受洗し自分が司祭を目指すに当たってから、この現実から神様は騙せないと強く感じていました。なぜならそれまでは在日であることを隠して生きてきましたから。
そこで決心して教区神学生二年目に名前を本名に戻し教区全体に公表しました。(今でも覚えています。公表した次の日の朝恐れのあまり生きて目覚めないかもしれないと)
イエス様は病気の十人を癒し、戻った一人の異邦人にも「あなたのままでいいんだよ」と直接声をかけてくれたことは、私の信仰心の原点を思い出させてくださる出来事です。
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